私たちの定義する自然栽培をご説明します。(無断転載禁止)

自然栽培 概要

野山では、肥料という存在なくいのちの循環が成り立つ仕組みがあります。このサイクルをヒントに、田畑に自然界の法則を応用していくことが自然栽培の原理原則です。肥料・農薬を使用しない環境下、土づくりや適作を大切にすることで、植物は器官の形成にじっくり力を注ぎます。そのような植物は、病虫害の発生が低くなります。

自然栽培は、自然の持つ力を活かした永続的かつ体系的な農業方式の呼称です。田畑を取り巻く環境、そして植物の資質を十分に引きだすことを大切に、肥料や農薬またはその効力が生じる資材を農地や育苗土に使用しません。いのちと環境を尊重し、積極的に土に関わる取り組みです。

※自然栽培全国普及会で定義している栽培基準

肥料の意味

 肥料の三養素、窒素・リン酸・カリウム。中でも窒素は、植物の初期生育に必要とされる生長促進剤です。植物は土壌に含まれる窒素を硝酸態という形で取り込みます。しかし、過剰な硝酸態は植物が分解しきれず虫や病気を呼び寄せ、結果として農薬が必要になっていきます。

また、土に肥料を投入することで、植物や土壌動物・土壌微生物の活動が限定されます。そうした生きものの働きを取り戻して土壌構造の発達を促すため、人為的な栄養供給や微生物資材等の投与を行わないという考えかたが自然栽培にあります。

自然栽培のステップ

自然栽培は、田畑の観察や検証を繰り返し、適地適作を心がけることが大切です。農産物の健全な生育を中心に据えた、永続可能な環境の維持が軸となります。

そこで重要になるのが土づくりです。植物が根域を広げて土中の養分を取り込めるよう、土の団粒化を促して作土を確保します。団粒構造の隙間が通気性・保水性・排水性をもたらし、植物も団粒の間に根を張り巡らせて広範囲で養分を獲得できるようになります。また、過去に投入された肥料の残存成分が病虫害を引き寄せる原因になることも。土づくりや自然栽培の継続により、肥料成分を取り除いていくことが可能です。

こうした取り組みを重ねて、農産物の自律的な生長基盤を構築していきます。

こうした取り組みを重ねて、農産物の自律的な生長基盤を構築していきます。

自然栽培から生まれるもの

素材の力づよさや真っすぐな味わいを感じられる自然栽培の農産物。窒素分の少ない環境下では、植物は生育に見合うだけの窒素量を吸収するため、丈夫な細胞壁を持ちます。

野菜は緻密でなめらかな質感をもち、透明感を感じられる味わいに。お米は艶やかに炊き上がり、喉越しも良く身体に溶け込んでいきます。保存性も高まり、野菜は傷みにくく、お米は長期間美味しくいただくことができます。

自然栽培は、土づくりの準備期間、慣行栽培と比較した時の収穫量の違い(お米の場合で30~50%減)があり、農業経営に工夫が必要です。しかし外部から肥料や農薬を投入せず自律的な栽培環境を実現させることも可能です。

田畑には、微生物や昆虫・爬虫類といった豊かな生態系が再現されます。疲弊した大地を自然栽培で豊かに育み、永続的な食料生産と環境保全を目指していきます。

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